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「しぇ」「じぇ」

テーマ:方言
海は、春のうねりです。

波が高くて、網を持てません。


こないだの日曜日に、ブリが1100本ほどありましたが、昨日今日と朝は持てませんでした。


「女心と春の空」

と、言いますけれど、春の海もころころ変わります。



色が段々になっています
これ↑は、昨日の写真ですけども、雲の色が、手前は濃く、奥ほど薄くなっているのがわかりますか?

三段くらいになっていますね。

こんなふうに雲の色が段々になっているときは、

「これから荒れてくるぞ」

というしるしだそうです。

漁師の知恵ですね。


ちなみに今日は気持ちいいくらい晴れていますが、沖はうねっております。

白波寄せています。

昼に持てるかどうか…。







さて、こないだ探偵ナイトスクープを見ていたら、

ざ行が発音できない母

という依頼が来ていました。


兵庫県の方なんですが、「ざじずぜぞ」が、「だぢづでど」になってしまうらしいんですね。

ザ行がダ行になってしまうんだそうです。

なので、孫の名前が「禅(ぜん)ちゃん」なのですが、祖母が言うと「でんちゃん」になってしまう。


「お宅のお孫さん、名前は何ていうの?」

「でんです」

「え?」


こんな会話が、ご近所で繰り返されてきたそうです。

アナウンス学院の先生も必死で教えて、何とか矯正できたようですが、最後、「ぜんちゃん」と言えたときには、この祖母の目に涙が浮かんでいました。

西田敏行局長の目にも涙が浮かんでいました。

まあそれはいつものことなんですけども(笑)。


こういうケースは珍しいことではなく、例えば沖縄だとカ行がタ行になったりします。

これは、実は発音のしやすいほうに寄っていっているんですね。

カ行よりもタ行のほうが発音しやすいのです。

その証拠に、赤ちゃんはなかなかカ行が言えません。

まだ舌足らずに、「ネコ」が「ネト」になったりします。



番組を見ながら、そういえば尾鷲でも同じようなことがあるなぁ…と感じました。

もっとも、「発音のしやすさ」ではなく、「古い発音が残っている」ことからくる方言ですし、しかももう消えかかっているんですけども。


尾鷲のジイヤン・バアヤンは、「せ」が「しぇ」に、「ぜ」が「じぇ」になります。


ですから例えば、

「先生(せんせい)」が「しぇんしぇー」

「千円(せんえん)」が「しぇんえん」

「全然(ぜんぜん)」が「じぇんじぇん」

「戦前(せんぜん)」が「しぇんじぇん」


になるんですよ。


もし尾鷲で「禅ちゃん」という孫が生まれたら、その祖父母は、「じぇんちゃん」と呼ぶでしょう(笑)。


高校時代の教頭先生は、わかりやすい尾鷲弁でしたので、校内放送でいつも、

「しぇんしぇーがた、しぇんしぇーがた、職員会議を開きますので、職員室に集まってください」

とアナウンスされていました。



では、「果たしてこの「しぇ」「じぇ」がいったいどこから来たのか?」ということなんですけども、その答えは意外なところにありました。



実は、もともとは「しぇ」「じぇ」が標準語だったのです!



「えー?!」

と驚く気持ちはよくわかります。

まあ私の話を聞いてください。





室町時代から安土桃山時代にかけて、日本にはポルトガル人がやってきて、キリスト教、銃などが伝来しました。


昔、歴史の授業で習いましたよね。

イエズス会。

フランシスコ・ザビエル。

1549(いごよく)広まるキリスト教。


その当時、宣教師らは日本でキリスト教を広めるため、まず身につけなければいけないことは、「日本語」でした。

キリストの教えを伝えるために、日本語を学ばなければいけません。


今の時代、駅前留学すれば済むのですが、当時はそうもいきません。

というか、はるばる海を越えて日本にやってくること自体が命がけです。

現代に例えると、月に行くようなものでしょう。


それでも、「神の教えを世界に」という一途な思いで、宣教師たちは世界に船を進めたわけです。
(もちろんそれ以外の目的もあったでしょうが)


そんな宣教師たちのために、「日葡辞書」という辞書が作られました。

この辞書には、約32000ほどの語彙が収録されています。

それによると当時の日本では、「せ」「ぜ」に当てはまるところに「しぇ」「じぇ」が使われていることがわかったのです。

サ行は、時代とともに変化してきたのですね。



当時の都は、京都です。

都で使われている言葉はすなわち、標準語です。

ということはつまり、「しぇ」「じぇ」は昔、標準語だったということなんですよね。




おもしろいことに言葉は、京都から同心円状に波及し、遠くに行けば行くほど古い言い回しが残っているのです。

尾鷲は紀伊半島にあり、直線距離で考えると京都から近いのですが、交通手段が限られた陸の孤島だったので、こういう古い言葉が残っているんですね。


残念ながら現在尾鷲で、この「しぇ」「じぇ」は、若い人たちのあいだではもうほとんど見られません。

70代以上に残っているだけではないでしょうか。

日本の言葉の歴史を感じることができる貴重な方言なのですが、きっと近いうちに消えてしまうでしょう。

ちょっと寂しい気もしますが、言葉は時代とともに移り変わるものですから、やむをえません。


そんなわけで、あなたもぜひ、尾鷲で(昔の)標準語を使ってみませんか?

















BGMは、陰陽座の「おらびなはい」。

せっかくなので、方言が使われている歌を…。
あ、かなりハードロックなバンドなのでご注意を…。
「おらぶ(叫ぶ)」「ちばける(ふざける)」というのは、岡山方言です。
ちょっと前に、「ぼっけえきょうてえ」という本が出版されて話題になりましたが、あれも岡山ですね。
ちなみに「とても怖い」という意味です。怪談本ですね。
そういえば岡山方言は、「でーかでーこんてーてーて(誰か大根炊いといて)」ってのも有名ですよね。
















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つながり

テーマ:ふるさと
今朝、午前7時頃まで、docomoの携帯がつながりませんでした。


「メンテナンス工事をやっております」という回答でした。




「聞いてないよー!」

と、憤慨した漁業関係者は、たくさんいると思います。

今朝なんか漁が少なくて、7時には市場が終わっていましたから。


どこの港にどれくらいの魚が揚がって、それをいくらで買うのか?

という情報をいかに速く手に入れて、魚を買って行くのが仲買さんの仕事です。

ですから、現在では携帯が手放せません。

毎朝、携帯電話でにぎやかに話す声とともに、市場は運営されています。




ちょっと前、携帯がなかった頃は、電話ボックスでした。

それぞれの仲買さん専用の電話ボックスがあり、そこで商売の話をしていたそうです。

今でも市場の横に、元電話ボックス小屋があります。



さらにもっと昔には、のろしで連絡していた時代があったと聞きました。

「関西方面の魚の値段が、のろしで伝えられた」
と、地元の方に教えてもらいました。

そういえば、木名峠にのろし場が残されています。

http://www.city.owase.lg.jp/contents_detail.php?co=kak&frmId=738
↑尾鷲市の文化財HPです。
写真はありませんが、ぐーっと下のほうに、「木名峠狼煙場跡 3本建1基 江戸 市内唯一の残存狼煙場跡 早田区」とあります。


でも、他のHPを読むと、「異国船を見つけたときのためののろし場」だと書いてあります。

開国してから、用途が変わったということなんでしょうか。

狼(オオカミ)の煙(ケムリ)と書いて、狼煙(のろし)。
良質の煙を出すために、狼の糞を使ったとか。

それにしても、ちゃんとした文化財なんですね。
原型をとどめて残存しているのは、珍しいそうです。






携帯の話をしていたつもりが、いつの間にかのろしの話になりました。



「つながり」というタイトルのくせに、話はまとまっていません。


要するに、私が何を言いたいかというと、

「とにかく大漁してほしい!」

ってことなんです。













BGMは、浜田省吾さんの「僕と彼女と週末に」。

僕と彼女と週末に [DVD]が、少し前に発売されました。
たまに、この人は予言者じゃないのかと思うことがあります。
この曲を紹介するのは2回目ですけども、どうしても今、聴いておくべきかな…と。
以前に紹介したものとは別の動画、別のヴァージョンです。














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敬語がない

テーマ:方言
尾鷲弁には敬語がありません。


いや、「まったくない」とは言いません。

男言葉、女言葉の違いや、目上に対するちょっと丁寧な言葉遣いというのはあるんです。

けども、「敬語」として考えると、「ほぼ、ない」のです(笑)。

敬語が入ると、方言が消えます。



他所から尾鷲に赴任して来た先生たちは、まず、「生徒が先生に対して敬語を使わない」ことにびっくりするそうです。

思い起こせば、僕らもそうでした。

職員室のドアをバーンを開けて入って行って、

「センセー!プリントちょーだい!」

「おう、これ持ってけよ」

「ありがとー!」


という会話が普通でした。


まず、職員室のドアをノックして、「失礼します」と声をかけ、「○○先生いらっしゃいますか?」と聞き・・・。

なんてのはどこか遠い国のお話(笑)。


先生のことを「アンタ」って呼ぶのは日常茶飯事。

「アンタ」って呼ばれても、怒っちゃいけませんよ。

それは、生徒から慕われている証拠なんです。

尾鷲で、生徒から敬語なんて使われたら、どれだけ心の距離が離れているか計りしれません。

ちなみに、尾鷲で「アンタ」は乱暴な言葉ではないんですよ。



尾鷲市のHPでも興味深く紹介されているのですが、この例文はおもしろいですね。

尾鷲の人なら、にやっとするのではないでしょうか。
以下に紹介しますね。

ちなみに市のHPでは、尾鷲弁の敬語は「貧困」だと表現されています。


☆★☆★☆以下、市のHPより抜粋☆★☆★☆


・外来客が、土産物を買い物にいった
客   「すいません」、

店主   「何(ナン)どな」
     (いらっしゃいませ。:何も悪意は無い)

客   「何かいい土産がないですか?」     

店主   「イ?、ナンジャッテイ」
      (ええ?何ですって?)

〜店主は高齢の為、少し耳が遠い
客  何か、店主を怒らせたのかとドキドキしながら、早く用事を済まそうと適当な土産を見つけ・・・
    「この、かつをぶしみたいなものを下さい。」

店主   「アイ、ナマブシ(生節)ヤナ」
      (はい、生節ですね)

客    「そうです、二ついただけますか?」

〜ここへ店主の孫が学校から帰って来た。

孫   「あー腹へったよー、じいヤン、カシンくれイ」
     (お腹すいたから、おじいさん、菓子を頂戴)

店主   「ガッコから帰ってきたとおもたら、カシンくれくればっかいうて、シクダイもせんコーはアンポンタンジャ」
     (学校から帰ってきてすぐ、宿題(勉強)もしないで、菓子をねだるような子供はアホだ)

孫   「カシンほしキッテクよー」
     (菓子を下さい:キッテクは欲しいを強調している)

店主  「シクダイしてからジャ」
     (宿題したら、あげるよ)

〜孫は、寝転がって、漫画の本を読んでいる。

店主  「漫画らぁ、みいよらんと、チャッチャット、シクダイせー」
     (漫画なんか読んでいないで、早く(敏速に)宿題をしなさい
       :多数形に「ら」をつける場合がある。※「あの子ラ」:あそこの子供たち或いはあそこの人たち)

孫   「ちぇ・・・・」以下、友達の家庭ではケーキとか上品なおやつをすぐに、出してくれるとかの話をしだす。

店主 〜少し興奮して
     「なんどー、クドクド、コッペタようなこと云うな、男の子やろ!」
      (コラ、男だったら、しつこく、無駄口を叩くな!)

孫   「ちぇっ」

店主の妻 「あんたも、そんなに怒んナイ、ケッアツあがるデ」
     (まぁ、まぁ、あなたもそんなに、おこならないで、血圧があがりますよ)      

店主  「やかまっしャー、イナ、そんなんやモンデ、この子をたかなしにしたるんジャ」
     (うるさい、お前がそんなふうだから、この子がつけあがるんじゃ)

孫   「ちぇっ」

店主  「シワタラコー、云いよらんと、チャッチャトせー!」
     (しつこく云ってないで、早く(宿題を)しろ!)

客  〜尾鷲弁に慣れていないので、店主・孫の会話に圧倒され、黙っていたのだが、
     列車の時刻が迫ってきたため、精一杯、勇気をふりしぼり・・・
     「あの・・」

店主  〜孫を叱りとばして(きつく叱った)いたため、客を待たしていたことに、やっと(ようやく)気付き、すまなそうな顔をして・・
     「ごめんイ、待たしたヨー  ナマブシやったんナ」
      (本当にすみません、お待たせしました、生節ですね)

客    「はい」

店主   「どんなけどナ?」
     (孫を叱りとばしていたたため、2個注文されたのを忘れている)
     (いくつですか?:普段は、「どんなけ」と云うが、相手はお客さんで、時間待ちをさせたため、精一杯の謝意を表するため、「ドナ」をつけた)

客    「?」
    (「ドンナケドナ」の意味がよくわからず、逡巡している)

店主  「いくついるン?」
 
  プーーーーーーーーー!!
    〜列車の発車の汽笛が聞こえてきた。

客  〜自分で品物を2つとり、慌てた様子で・・・
     「ここ、これだけ下さい!」
     「い、いくらですか?」

店主  「○○円です。」

〜客、品物受け取る。

店主 「おおきに」「ごめんイ」

客急いで駅に走る
店主もつらいので(気の毒なので)一緒に走る。

☆★☆★☆以上、市のHPより抜粋☆★☆★☆




普通なら、「菓子」に「御」をつけて、「御菓子(おかし)」でしょ。

でも、尾鷲弁では、語尾に「ン」をつけて、「かしん」なんですよ。

なぜなんでしょうね…。


あと、駄菓子屋に入るときのあいさつにも特徴があります。

「こんにちはー」

なんて言いません。

「売ってー」

と言いながら入って行きます。

するとおばちゃんが、

「はいはい。なんにするどいー」

と言いながら出てくるのです。


お店に「売ってー」って入って行く。

そのままやがな(笑)

わかりやすくていいですよ。

僕だって子どもの頃は、100円玉を握りしめて「売ってー」って駄菓子屋に駆け込んでいったものです。




昔、方言学の授業で習ったのですが、九州地方では、細かい序列を表現する敬語があるそうです。

上から下まである細かい身分に対して、自分の身分をふまえて敬意を表現していたんです。

身分制度や、男女差別が厳しかった九州地方の実情が、言葉に表れているんですね。

敬語がない僕らは、まずそのバックボーンを理解するのに、けっこう時間がかかるだろうなぁ…と思います。






ぜひあなたも尾鷲へ遊びに来て、「敬語の貧困な尾鷲弁」を味わってみてください。

でも、怒らないでね(笑)

悪気はないのよ☆



















BGMは、Michael Jacksonの「Black Or White」。

マイケルの作品の中で、この曲はかなり好きですねぇ。
ホントに、歌詞も素晴らしいんですよ。
最後の、顔がどんどん変わっていくシーンでは、当時としては最新の映像技術を駆使しており、とんでもない費用がかかったそうです。
聞いた話によると、1秒100万円だとか。
さすがマイケル。スケールがデカすぎます。
















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プロフィール

こうちゃん

こうちゃん

早田(はいだ)の漁協職員で、エクスマ8期生のこうちゃんです。
尾鷲生まれ尾鷲育ちですが、幼い頃から早田で遊んでお世話になりました。
広く、深く、楽しく、明るく、おおらかに、前向きに、良心的に、素直に、物事を捉えて考えて行動したいと思っています。
よかったらこのブログにも、そして尾鷲市早田町にも、遊びに来てください!

性別
男性

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