敬語がない
テーマ:方言
2011年04月12日 10時07分
尾鷲弁には敬語がありません。
いや、「まったくない」とは言いません。
男言葉、女言葉の違いや、目上に対するちょっと丁寧な言葉遣いというのはあるんです。
けども、「敬語」として考えると、「ほぼ、ない」のです(笑)。
敬語が入ると、方言が消えます。
他所から尾鷲に赴任して来た先生たちは、まず、「生徒が先生に対して敬語を使わない」ことにびっくりするそうです。
思い起こせば、僕らもそうでした。
職員室のドアをバーンを開けて入って行って、
「センセー!プリントちょーだい!」
「おう、これ持ってけよ」
「ありがとー!」
という会話が普通でした。
まず、職員室のドアをノックして、「失礼します」と声をかけ、「○○先生いらっしゃいますか?」と聞き・・・。
なんてのはどこか遠い国のお話(笑)。
先生のことを「アンタ」って呼ぶのは日常茶飯事。
「アンタ」って呼ばれても、怒っちゃいけませんよ。
それは、生徒から慕われている証拠なんです。
尾鷲で、生徒から敬語なんて使われたら、どれだけ心の距離が離れているか計りしれません。
ちなみに、尾鷲で「アンタ」は乱暴な言葉ではないんですよ。
尾鷲市のHPでも興味深く紹介されているのですが、この例文はおもしろいですね。
尾鷲の人なら、にやっとするのではないでしょうか。
以下に紹介しますね。
ちなみに市のHPでは、尾鷲弁の敬語は「貧困」だと表現されています。
☆★☆★☆以下、市のHPより抜粋☆★☆★☆
・外来客が、土産物を買い物にいった
客 「すいません」、
店主 「何(ナン)どな」
(いらっしゃいませ。:何も悪意は無い)
客 「何かいい土産がないですか?」
店主 「イ?、ナンジャッテイ」
(ええ?何ですって?)
〜店主は高齢の為、少し耳が遠い
客 何か、店主を怒らせたのかとドキドキしながら、早く用事を済まそうと適当な土産を見つけ・・・
「この、かつをぶしみたいなものを下さい。」
店主 「アイ、ナマブシ(生節)ヤナ」
(はい、生節ですね)
客 「そうです、二ついただけますか?」
〜ここへ店主の孫が学校から帰って来た。
孫 「あー腹へったよー、じいヤン、カシンくれイ」
(お腹すいたから、おじいさん、菓子を頂戴)
店主 「ガッコから帰ってきたとおもたら、カシンくれくればっかいうて、シクダイもせんコーはアンポンタンジャ」
(学校から帰ってきてすぐ、宿題(勉強)もしないで、菓子をねだるような子供はアホだ)
孫 「カシンほしキッテクよー」
(菓子を下さい:キッテクは欲しいを強調している)
店主 「シクダイしてからジャ」
(宿題したら、あげるよ)
〜孫は、寝転がって、漫画の本を読んでいる。
店主 「漫画らぁ、みいよらんと、チャッチャット、シクダイせー」
(漫画なんか読んでいないで、早く(敏速に)宿題をしなさい
:多数形に「ら」をつける場合がある。※「あの子ラ」:あそこの子供たち或いはあそこの人たち)
孫 「ちぇ・・・・」以下、友達の家庭ではケーキとか上品なおやつをすぐに、出してくれるとかの話をしだす。
店主 〜少し興奮して
「なんどー、クドクド、コッペタようなこと云うな、男の子やろ!」
(コラ、男だったら、しつこく、無駄口を叩くな!)
孫 「ちぇっ」
店主の妻 「あんたも、そんなに怒んナイ、ケッアツあがるデ」
(まぁ、まぁ、あなたもそんなに、おこならないで、血圧があがりますよ)
店主 「やかまっしャー、イナ、そんなんやモンデ、この子をたかなしにしたるんジャ」
(うるさい、お前がそんなふうだから、この子がつけあがるんじゃ)
孫 「ちぇっ」
店主 「シワタラコー、云いよらんと、チャッチャトせー!」
(しつこく云ってないで、早く(宿題を)しろ!)
客 〜尾鷲弁に慣れていないので、店主・孫の会話に圧倒され、黙っていたのだが、
列車の時刻が迫ってきたため、精一杯、勇気をふりしぼり・・・
「あの・・」
店主 〜孫を叱りとばして(きつく叱った)いたため、客を待たしていたことに、やっと(ようやく)気付き、すまなそうな顔をして・・
「ごめんイ、待たしたヨー ナマブシやったんナ」
(本当にすみません、お待たせしました、生節ですね)
客 「はい」
店主 「どんなけどナ?」
(孫を叱りとばしていたたため、2個注文されたのを忘れている)
(いくつですか?:普段は、「どんなけ」と云うが、相手はお客さんで、時間待ちをさせたため、精一杯の謝意を表するため、「ドナ」をつけた)
客 「?」
(「ドンナケドナ」の意味がよくわからず、逡巡している)
店主 「いくついるン?」
プーーーーーーーーー!!
〜列車の発車の汽笛が聞こえてきた。
客 〜自分で品物を2つとり、慌てた様子で・・・
「ここ、これだけ下さい!」
「い、いくらですか?」
店主 「○○円です。」
〜客、品物受け取る。
店主 「おおきに」「ごめんイ」
客急いで駅に走る
店主もつらいので(気の毒なので)一緒に走る。
☆★☆★☆以上、市のHPより抜粋☆★☆★☆
普通なら、「菓子」に「御」をつけて、「御菓子(おかし)」でしょ。
でも、尾鷲弁では、語尾に「ン」をつけて、「かしん」なんですよ。
なぜなんでしょうね…。
あと、駄菓子屋に入るときのあいさつにも特徴があります。
「こんにちはー」
なんて言いません。
「売ってー」
と言いながら入って行きます。
するとおばちゃんが、
「はいはい。なんにするどいー」
と言いながら出てくるのです。
お店に「売ってー」って入って行く。
そのままやがな(笑)
わかりやすくていいですよ。
僕だって子どもの頃は、100円玉を握りしめて「売ってー」って駄菓子屋に駆け込んでいったものです。
昔、方言学の授業で習ったのですが、九州地方では、細かい序列を表現する敬語があるそうです。
上から下まである細かい身分に対して、自分の身分をふまえて敬意を表現していたんです。
身分制度や、男女差別が厳しかった九州地方の実情が、言葉に表れているんですね。
敬語がない僕らは、まずそのバックボーンを理解するのに、けっこう時間がかかるだろうなぁ…と思います。
ぜひあなたも尾鷲へ遊びに来て、「敬語の貧困な尾鷲弁」を味わってみてください。
でも、怒らないでね(笑)
悪気はないのよ☆
BGMは、Michael Jacksonの「Black Or White」。
マイケルの作品の中で、この曲はかなり好きですねぇ。
ホントに、歌詞も素晴らしいんですよ。
最後の、顔がどんどん変わっていくシーンでは、当時としては最新の映像技術を駆使しており、とんでもない費用がかかったそうです。
聞いた話によると、1秒100万円だとか。
さすがマイケル。スケールがデカすぎます。
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いや、「まったくない」とは言いません。
男言葉、女言葉の違いや、目上に対するちょっと丁寧な言葉遣いというのはあるんです。
けども、「敬語」として考えると、「ほぼ、ない」のです(笑)。
敬語が入ると、方言が消えます。
他所から尾鷲に赴任して来た先生たちは、まず、「生徒が先生に対して敬語を使わない」ことにびっくりするそうです。
思い起こせば、僕らもそうでした。
職員室のドアをバーンを開けて入って行って、
「センセー!プリントちょーだい!」
「おう、これ持ってけよ」
「ありがとー!」
という会話が普通でした。
まず、職員室のドアをノックして、「失礼します」と声をかけ、「○○先生いらっしゃいますか?」と聞き・・・。
なんてのはどこか遠い国のお話(笑)。
先生のことを「アンタ」って呼ぶのは日常茶飯事。
「アンタ」って呼ばれても、怒っちゃいけませんよ。
それは、生徒から慕われている証拠なんです。
尾鷲で、生徒から敬語なんて使われたら、どれだけ心の距離が離れているか計りしれません。
ちなみに、尾鷲で「アンタ」は乱暴な言葉ではないんですよ。
尾鷲市のHPでも興味深く紹介されているのですが、この例文はおもしろいですね。
尾鷲の人なら、にやっとするのではないでしょうか。
以下に紹介しますね。
ちなみに市のHPでは、尾鷲弁の敬語は「貧困」だと表現されています。
☆★☆★☆以下、市のHPより抜粋☆★☆★☆
・外来客が、土産物を買い物にいった
客 「すいません」、
店主 「何(ナン)どな」
(いらっしゃいませ。:何も悪意は無い)
客 「何かいい土産がないですか?」
店主 「イ?、ナンジャッテイ」
(ええ?何ですって?)
〜店主は高齢の為、少し耳が遠い
客 何か、店主を怒らせたのかとドキドキしながら、早く用事を済まそうと適当な土産を見つけ・・・
「この、かつをぶしみたいなものを下さい。」
店主 「アイ、ナマブシ(生節)ヤナ」
(はい、生節ですね)
客 「そうです、二ついただけますか?」
〜ここへ店主の孫が学校から帰って来た。
孫 「あー腹へったよー、じいヤン、カシンくれイ」
(お腹すいたから、おじいさん、菓子を頂戴)
店主 「ガッコから帰ってきたとおもたら、カシンくれくればっかいうて、シクダイもせんコーはアンポンタンジャ」
(学校から帰ってきてすぐ、宿題(勉強)もしないで、菓子をねだるような子供はアホだ)
孫 「カシンほしキッテクよー」
(菓子を下さい:キッテクは欲しいを強調している)
店主 「シクダイしてからジャ」
(宿題したら、あげるよ)
〜孫は、寝転がって、漫画の本を読んでいる。
店主 「漫画らぁ、みいよらんと、チャッチャット、シクダイせー」
(漫画なんか読んでいないで、早く(敏速に)宿題をしなさい
:多数形に「ら」をつける場合がある。※「あの子ラ」:あそこの子供たち或いはあそこの人たち)
孫 「ちぇ・・・・」以下、友達の家庭ではケーキとか上品なおやつをすぐに、出してくれるとかの話をしだす。
店主 〜少し興奮して
「なんどー、クドクド、コッペタようなこと云うな、男の子やろ!」
(コラ、男だったら、しつこく、無駄口を叩くな!)
孫 「ちぇっ」
店主の妻 「あんたも、そんなに怒んナイ、ケッアツあがるデ」
(まぁ、まぁ、あなたもそんなに、おこならないで、血圧があがりますよ)
店主 「やかまっしャー、イナ、そんなんやモンデ、この子をたかなしにしたるんジャ」
(うるさい、お前がそんなふうだから、この子がつけあがるんじゃ)
孫 「ちぇっ」
店主 「シワタラコー、云いよらんと、チャッチャトせー!」
(しつこく云ってないで、早く(宿題を)しろ!)
客 〜尾鷲弁に慣れていないので、店主・孫の会話に圧倒され、黙っていたのだが、
列車の時刻が迫ってきたため、精一杯、勇気をふりしぼり・・・
「あの・・」
店主 〜孫を叱りとばして(きつく叱った)いたため、客を待たしていたことに、やっと(ようやく)気付き、すまなそうな顔をして・・
「ごめんイ、待たしたヨー ナマブシやったんナ」
(本当にすみません、お待たせしました、生節ですね)
客 「はい」
店主 「どんなけどナ?」
(孫を叱りとばしていたたため、2個注文されたのを忘れている)
(いくつですか?:普段は、「どんなけ」と云うが、相手はお客さんで、時間待ちをさせたため、精一杯の謝意を表するため、「ドナ」をつけた)
客 「?」
(「ドンナケドナ」の意味がよくわからず、逡巡している)
店主 「いくついるン?」
プーーーーーーーーー!!
〜列車の発車の汽笛が聞こえてきた。
客 〜自分で品物を2つとり、慌てた様子で・・・
「ここ、これだけ下さい!」
「い、いくらですか?」
店主 「○○円です。」
〜客、品物受け取る。
店主 「おおきに」「ごめんイ」
客急いで駅に走る
店主もつらいので(気の毒なので)一緒に走る。
☆★☆★☆以上、市のHPより抜粋☆★☆★☆
普通なら、「菓子」に「御」をつけて、「御菓子(おかし)」でしょ。
でも、尾鷲弁では、語尾に「ン」をつけて、「かしん」なんですよ。
なぜなんでしょうね…。
あと、駄菓子屋に入るときのあいさつにも特徴があります。
「こんにちはー」
なんて言いません。
「売ってー」
と言いながら入って行きます。
するとおばちゃんが、
「はいはい。なんにするどいー」
と言いながら出てくるのです。
お店に「売ってー」って入って行く。
そのままやがな(笑)
わかりやすくていいですよ。
僕だって子どもの頃は、100円玉を握りしめて「売ってー」って駄菓子屋に駆け込んでいったものです。
昔、方言学の授業で習ったのですが、九州地方では、細かい序列を表現する敬語があるそうです。
上から下まである細かい身分に対して、自分の身分をふまえて敬意を表現していたんです。
身分制度や、男女差別が厳しかった九州地方の実情が、言葉に表れているんですね。
敬語がない僕らは、まずそのバックボーンを理解するのに、けっこう時間がかかるだろうなぁ…と思います。
ぜひあなたも尾鷲へ遊びに来て、「敬語の貧困な尾鷲弁」を味わってみてください。
でも、怒らないでね(笑)
悪気はないのよ☆
BGMは、Michael Jacksonの「Black Or White」。
マイケルの作品の中で、この曲はかなり好きですねぇ。
ホントに、歌詞も素晴らしいんですよ。
最後の、顔がどんどん変わっていくシーンでは、当時としては最新の映像技術を駆使しており、とんでもない費用がかかったそうです。
聞いた話によると、1秒100万円だとか。
さすがマイケル。スケールがデカすぎます。
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