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敬語がない

テーマ:方言
尾鷲弁には敬語がありません。


いや、「まったくない」とは言いません。

男言葉、女言葉の違いや、目上に対するちょっと丁寧な言葉遣いというのはあるんです。

けども、「敬語」として考えると、「ほぼ、ない」のです(笑)。

敬語が入ると、方言が消えます。



他所から尾鷲に赴任して来た先生たちは、まず、「生徒が先生に対して敬語を使わない」ことにびっくりするそうです。

思い起こせば、僕らもそうでした。

職員室のドアをバーンを開けて入って行って、

「センセー!プリントちょーだい!」

「おう、これ持ってけよ」

「ありがとー!」


という会話が普通でした。


まず、職員室のドアをノックして、「失礼します」と声をかけ、「○○先生いらっしゃいますか?」と聞き・・・。

なんてのはどこか遠い国のお話(笑)。


先生のことを「アンタ」って呼ぶのは日常茶飯事。

「アンタ」って呼ばれても、怒っちゃいけませんよ。

それは、生徒から慕われている証拠なんです。

尾鷲で、生徒から敬語なんて使われたら、どれだけ心の距離が離れているか計りしれません。

ちなみに、尾鷲で「アンタ」は乱暴な言葉ではないんですよ。



尾鷲市のHPでも興味深く紹介されているのですが、この例文はおもしろいですね。

尾鷲の人なら、にやっとするのではないでしょうか。
以下に紹介しますね。

ちなみに市のHPでは、尾鷲弁の敬語は「貧困」だと表現されています。


☆★☆★☆以下、市のHPより抜粋☆★☆★☆


・外来客が、土産物を買い物にいった
客   「すいません」、

店主   「何(ナン)どな」
     (いらっしゃいませ。:何も悪意は無い)

客   「何かいい土産がないですか?」     

店主   「イ?、ナンジャッテイ」
      (ええ?何ですって?)

〜店主は高齢の為、少し耳が遠い
客  何か、店主を怒らせたのかとドキドキしながら、早く用事を済まそうと適当な土産を見つけ・・・
    「この、かつをぶしみたいなものを下さい。」

店主   「アイ、ナマブシ(生節)ヤナ」
      (はい、生節ですね)

客    「そうです、二ついただけますか?」

〜ここへ店主の孫が学校から帰って来た。

孫   「あー腹へったよー、じいヤン、カシンくれイ」
     (お腹すいたから、おじいさん、菓子を頂戴)

店主   「ガッコから帰ってきたとおもたら、カシンくれくればっかいうて、シクダイもせんコーはアンポンタンジャ」
     (学校から帰ってきてすぐ、宿題(勉強)もしないで、菓子をねだるような子供はアホだ)

孫   「カシンほしキッテクよー」
     (菓子を下さい:キッテクは欲しいを強調している)

店主  「シクダイしてからジャ」
     (宿題したら、あげるよ)

〜孫は、寝転がって、漫画の本を読んでいる。

店主  「漫画らぁ、みいよらんと、チャッチャット、シクダイせー」
     (漫画なんか読んでいないで、早く(敏速に)宿題をしなさい
       :多数形に「ら」をつける場合がある。※「あの子ラ」:あそこの子供たち或いはあそこの人たち)

孫   「ちぇ・・・・」以下、友達の家庭ではケーキとか上品なおやつをすぐに、出してくれるとかの話をしだす。

店主 〜少し興奮して
     「なんどー、クドクド、コッペタようなこと云うな、男の子やろ!」
      (コラ、男だったら、しつこく、無駄口を叩くな!)

孫   「ちぇっ」

店主の妻 「あんたも、そんなに怒んナイ、ケッアツあがるデ」
     (まぁ、まぁ、あなたもそんなに、おこならないで、血圧があがりますよ)      

店主  「やかまっしャー、イナ、そんなんやモンデ、この子をたかなしにしたるんジャ」
     (うるさい、お前がそんなふうだから、この子がつけあがるんじゃ)

孫   「ちぇっ」

店主  「シワタラコー、云いよらんと、チャッチャトせー!」
     (しつこく云ってないで、早く(宿題を)しろ!)

客  〜尾鷲弁に慣れていないので、店主・孫の会話に圧倒され、黙っていたのだが、
     列車の時刻が迫ってきたため、精一杯、勇気をふりしぼり・・・
     「あの・・」

店主  〜孫を叱りとばして(きつく叱った)いたため、客を待たしていたことに、やっと(ようやく)気付き、すまなそうな顔をして・・
     「ごめんイ、待たしたヨー  ナマブシやったんナ」
      (本当にすみません、お待たせしました、生節ですね)

客    「はい」

店主   「どんなけどナ?」
     (孫を叱りとばしていたたため、2個注文されたのを忘れている)
     (いくつですか?:普段は、「どんなけ」と云うが、相手はお客さんで、時間待ちをさせたため、精一杯の謝意を表するため、「ドナ」をつけた)

客    「?」
    (「ドンナケドナ」の意味がよくわからず、逡巡している)

店主  「いくついるン?」
 
  プーーーーーーーーー!!
    〜列車の発車の汽笛が聞こえてきた。

客  〜自分で品物を2つとり、慌てた様子で・・・
     「ここ、これだけ下さい!」
     「い、いくらですか?」

店主  「○○円です。」

〜客、品物受け取る。

店主 「おおきに」「ごめんイ」

客急いで駅に走る
店主もつらいので(気の毒なので)一緒に走る。

☆★☆★☆以上、市のHPより抜粋☆★☆★☆




普通なら、「菓子」に「御」をつけて、「御菓子(おかし)」でしょ。

でも、尾鷲弁では、語尾に「ン」をつけて、「かしん」なんですよ。

なぜなんでしょうね…。


あと、駄菓子屋に入るときのあいさつにも特徴があります。

「こんにちはー」

なんて言いません。

「売ってー」

と言いながら入って行きます。

するとおばちゃんが、

「はいはい。なんにするどいー」

と言いながら出てくるのです。


お店に「売ってー」って入って行く。

そのままやがな(笑)

わかりやすくていいですよ。

僕だって子どもの頃は、100円玉を握りしめて「売ってー」って駄菓子屋に駆け込んでいったものです。




昔、方言学の授業で習ったのですが、九州地方では、細かい序列を表現する敬語があるそうです。

上から下まである細かい身分に対して、自分の身分をふまえて敬意を表現していたんです。

身分制度や、男女差別が厳しかった九州地方の実情が、言葉に表れているんですね。

敬語がない僕らは、まずそのバックボーンを理解するのに、けっこう時間がかかるだろうなぁ…と思います。






ぜひあなたも尾鷲へ遊びに来て、「敬語の貧困な尾鷲弁」を味わってみてください。

でも、怒らないでね(笑)

悪気はないのよ☆



















BGMは、Michael Jacksonの「Black Or White」。

マイケルの作品の中で、この曲はかなり好きですねぇ。
ホントに、歌詞も素晴らしいんですよ。
最後の、顔がどんどん変わっていくシーンでは、当時としては最新の映像技術を駆使しており、とんでもない費用がかかったそうです。
聞いた話によると、1秒100万円だとか。
さすがマイケル。スケールがデカすぎます。
















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尾鷲弁には、日本語にはない文法があるんです

テーマ:方言
今日のブログは理屈っぽくて、わかりにくいかもしれません。

なるべくわかりやすく書こうとは思うのですが・・・。

それでもお付き合いいただける方のみ、お読み下さいませ。









私たちが普段使っているのは、日本語です。

何気なく話しているのは、日本語。


英語でもフランス語でも何語でも、言語には文法というものがあります。


文法=言葉のルールです。


もちろん、日本語にもあります。

小学校、中学校のとき、国語の授業で文法を習いましたよね。

体言とか、用言とか。

助詞、助動詞。

五段活用、上一段活用。

未然連用終始連体仮定命令。

・・・あー、あれはホントにめんどくさかった・・・。


いやいや、別に昔を思い出して憂鬱にさせたいわけではないのです(笑)



文法の中に、形容詞っていうのがあるんですけども、これが、尾鷲弁ではありえない動きをするのです。


形容詞というのは、「ものごとを性質や状態を説明する言葉」です。

たとえば、

「文法はむずかしい」

という文だと、「文法」というものは「むずかしい」ということを説明しているわけですから、「むずかしい」が形容詞なわけですね。

「い」で終わる言葉が形容詞って覚えている方もいると思います。



はい。

伝わってますか?



で、この「むずかしい」を強調しようと思うと、「とても」という副詞を、頭につけます。

「とてもむずかしい」

これで、「むずかしい」の意味が強調されたわけですね。


英語で言うと、「difficult」が、「very difficult」になったわけです。



この「とても」のように、「形容詞を強調する言葉」というのは、形容詞の前につきます。

この、「とても」も、日本各地でいろいろありますけども、位置は同じく「形容詞の前」と、決まっています。

北海道だと、「なまらむずかしい」。

関西地方だと、「めっちゃむずかしい」「ごっつむずかしい」。

中国地方だと、「ぶちむずかしい」。

福岡だと、「ばりむずかしい」。

長崎五島列島だと、「ざまなむずかしい」「ぼろぼっくむずかしい」「がらがっしむずかしい」。


ね。

いろいろあるけど、みんな位置は一緒でしょ。



しかーし!

尾鷲弁は違います。



「むずかしきってく」


「むずかしい」という形容詞の語尾が変化(付加)されて、強調されるのです。


「とても青い」は、「青きってく」

「とてもやさしい」は、「やさしきってく」

「とてもうるさい」は、「うるさきってく」


きってくきってくきってく。


大学の方言学の恩師によると、このように形容詞が動詞のように変化する文法は、日本語にはないそうです。




今でも覚えていますけども、「自分の地域の方言を紹介する」という授業のとき、いきなり先生が、

「今、あなた何て言ったの!」

と興奮して叫びました。


でも、言われた僕は、ポカーンでした(笑)

だって、自分にとっては、普段から話している言葉ですからね。


「何か怒られることを言ったんだろうか?」

と考えてしまいました(笑)


先生が興奮しながら、

「日本語にはないのよ!あなた、スゴイ言葉をしゃべってるのよ!」

と言われ、詳しく説明してくれたので理解しましたけども。


何度も、「間違いないのね?」と念を押されて、「論文に使っていい?」と聞かれ、掲載されることになりました。


このとき、「方言ておもしろいなぁ」「方言が残っている地域に生まれ育ってよかったなぁ」と思いました。

そして、方言というものに興味を持つようになりました。

その地域独自の方言て、とっても味があって大好きです。



こんな僕ですが、鹿児島に行って居酒屋に入ったとき、周りの人が何をしゃべっているのか、さっぱりわかりませんでした。

「わざと僕にわからない言葉をしゃべっているのか?」

と思うくらい、わかりませんでした。

薩摩飛脚とはよく言ったものです。


日本は狭いと言いますが、そんなことはない。

方言も、地域の個性のひとつですよね。

誇りを持ってしっかり残しておくことが、大切だと思います。









BGMは、夏川りみさんの「涙そうそう」。

いい唄ですよねぇ。
せっかくですから、ウチナーグチヴァージョンで。
僕らが聞くと全然わからない沖縄方言も、ちゃんとルールがあるんですよ。
ちょっとくらいわかるようになりたいなぁ・・・と思ったりします。
その前に、沖縄には一度も行ったことがないので、行ってみたいなぁ・・・と。








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あなたならどうする・・・?

テーマ:方言
さて、ここでいきなりクイズです。


もしも、尾鷲の人に、

「いなだっきゃーごうわいてくるんにゃーかい、どしきったるじょー」

と、言われたら・・・。


どういう対応をすればいいのでしょうか?


1.この人は喜んでいるんだなーと思って、微笑む


2.この人は悲しんでいるんだなーと思って、悲しい顔をする


3.この人は怒っているんだなーと思って、その場から逃げ出す




































































・・・正解は・・・










3です!







主に男言葉なんですけども、それでは、ひとつずつ解説していきましょう。



「いなだっきゃーごうわいてくるんにゃーかい、どしきったるじょー」



「いな」=「あなた・きみ」

早田では、「いの」と言ったりしますけども、これは、同年齢や年下に向けて「あなた・きみ」と呼びかける言葉です。
どちらかと言えば、標準語の「おまえ」に近いですね。

ちなみに尾鷲の高年齢層(男性)は、自分の先輩に向かって、「あなたを尊敬していますよ」という気持ちをこめて、「おまえ」と言います。
これもよく誤解されますね。
でも、「おまえ」や、「きさま」ってのは、もともとは「御前」「貴様」ですから、敬語なんですよね。
陸の孤島である尾鷲には、古い言葉が残っているんです。



「だっきゃー」=「というやつは」

「だけは」が早口になり、変化して「だっきゃー」になったのではないか?と思われますが定かではありません。



「ごうわく」=「腹が立つ」

黒潮沿岸部では、離れていてもよく似た言葉が見受けられるのですが、これもその一つ。
高知にも同じ方言があるそうです。
潮の流れに乗って、交流があったのでしょうか。
「ごうわいてくる」が、「腹が立ってくる」になるんですね。



「にゃー」

尾鷲弁は、語尾によく「にゃー」をつけます。
けれども決してネコミミはつけていません。
女言葉や九鬼・早田では、「なー」になることが多いようです。



「かい」

これは、謎です。
方言学の恩師によると、「意味はないけれど、話し言葉の間に入ってリズムを整える言葉」だそうで、「間投詞(かんとうし)」というそうです。
尾鷲の人と話していると、「・・・かい、・・・かい」と、たくさん「かい」が出てきますけれども、決して蚊が多いわけではありません。



「どしきったる」=「ぼっこぼこにしてやる」

基本形は、「どしきる」です。類語に、「どしこむ」という語もあります。
中学生あたりが調子にのって、よく言う言葉です。

「どしきったる」は、「どしきる」の強調形ですね。
「・・・こむ」という変化は、「とても・・・する」という強調形でもあります。
たとえば、「あの子はマジメで勉強しーこむ」=「あの子はマジメでとても勉強する」など・・・。



「じょー」

尾鷲の男性は、「にゃー」と同じように、よく語尾に「じょー」をつけます。
決して、ボクシングの試合で真っ白な灰のように燃え尽きているわけではありません。(古いなぁ・・・)





そんなわけで全文訳すと、


尾鷲弁
「いなだっきゃーごうわいてくるんにゃーかい、どしきったるじょー」

は、標準語で、
「おまえというやつは腹の立つやつだ、ぼっこぼこにしてやろうか」


に、なるわけですね〜。




はい。今日は勉強になりましたね〜(笑)


尾鷲以外の皆さん、もしムカっとくることがあったら、

「いなだっきゃーごうわいてくるんにゃーかい、どしきったるじょー」

と、タンカをきってみてください。



きっと相手が笑い出して、ケンカがおさまって平和になるでしょう。




そして尾鷲に遊びに来た皆さん。

怖そうなお兄さんを見つけて、

「いなだっきゃーごうわいてくるんにゃーかい、どしきったるじょー」

とタンカをきってみてください。

くれぐれも僕は責任を持ちませんのでよろしくお願いします。



(笑)







本日のBGMは、山口百恵さんの「いい日旅立ち」。

昨日の日記にも書きましたとおり昨日は、「いい夫婦の日」だったんですけども、三浦友和・百恵夫妻が、「理想の夫婦」というアンケートで五連覇を成し遂げたそうです。
生まれた時から百恵ちゃんファンの僕としては、うれしい限りです。
・・・11月22日が「いい夫婦」なら、11月23日は「いい夫妻」だな〜と、ぼんやり考えていたら、ホントにそうでした(笑)
夫婦円満のためには、お互いを思いやること!が大切だそうですよ!
手元にあるカレンダーの標語に書いてあります!






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プロフィール

こうちゃん

こうちゃん

早田(はいだ)の漁協職員で、エクスマ8期生のこうちゃんです。
尾鷲生まれ尾鷲育ちですが、幼い頃から早田で遊んでお世話になりました。
広く、深く、楽しく、明るく、おおらかに、前向きに、良心的に、素直に、物事を捉えて考えて行動したいと思っています。
よかったらこのブログにも、そして尾鷲市早田町にも、遊びに来てください!

性別
男性

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